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民事執行法

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趣旨、強制執行、債務名義執行文の付与債務名義の送達、不動産に対する強制執行、 不動産執行の方法強制競売開始決定等差押えの登記の嘱託等開始決定及び配当要求の終期の公告等第57条現況調査第58条評価第59条売却に伴う権利の消滅等第60条売却基準価額の決定等第62条物件明細第63条剰余を生ずる見込みのない場合等の措置第64条売却の方法及び公告第68条の3売却の見込みのない場合の措置第74条売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告、動産に対する強制執行 、第122条動産執行の開始等第123条債務者の占有する動産の差押え第127条差押物の引渡命令第129条剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等第131条差押禁止動産第133条先取特権者等の配当要求第134条売却の方法、債権及びその他の財産権に対する強制執行、 第143条債権執行の開始第145条差し押さえ命令第147条第三債務者の陳述の催告第151条継続的給付の差押え第152条差押禁止債権第154条配当要求第180条不動産担保権の実行の方法

趣旨 民事執行法第一条、第二条、第三条

債権者が、裁判で勝ったとしても、債務者が判決を履行しなければその判決は絵に描いた餅に過ぎません。そこで、民事執行法では、①裁判所での判決による債務名義での強制執行が定められています。

また、債務名義の有無に関係なく執行できる②担保権の実行による場合競売があります。以前は②の公権力を利用して権利を実現する手続きは「任意競売」と呼ばれていて、「競売法」に定められていました。

そして、①、②のほかに、民法、商法、その他の法律の規定により換価のための競売があります。

尚、民事執行法は、

第一章総則

第二章強制執行(債務名義に基づく)

第三章担保権の実行としての競売

第四章罰則

の構成になっています。

 

(趣旨)
第一条  強制執行、担保権の実行としての競売及び民法 (明治二十九年法律第八十九号)、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売並びに債務者の財産の開示(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(執行機関)
第二条  民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。

(執行裁判所)
第三条  裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。

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強制執行 債務名義 民事執行法第二十二条

民事訴訟手続きには大きく分けて

1.「判決手続き」・・裁判所が行う

2.「強制執行手続き」・・裁判所又は執行官が行う

の仕組みになっています。

執行機関は一定の要件を具備していれば、執行が開始されます。

強制執行するには以下の要件が必要となります。
ア)債務名義が存在すること

イ)債務名義には執行分が付与されていること

ウ)債務名義が債務者に送達されていること

 

そして民事執行法第22条では債務名義を以下定めています。

①確定判決(上訴期間を経過し、もはや不服が申し立てられない判決)

②仮執行の宣言を付した判決(判決が確定していないが仮執行の宣言が付された判決)

③抗告によらなければ不服を申し立てることが出来ない裁判(給付を命じる決定・命令)

④仮執行の宣言を付した損害賠償命令

⑤仮執行の宣言を付した支払い督促

⑥訴訟費用等の額を定める裁判所書記官の処分

⑦執行証書(公証人が作成した公正証書で強制執行の認諾文言のあるもの)

⑧確定した執行判決のある外国裁判所の判決

⑨確定した執行決定のある仲裁判断(仲裁手続き(公示催告手続き及び仲裁手続きに関する法律))

⑩確定判決と同一の効力を有するもの(裁判上の和解調書・起訴前の和解(即決和解))

 

(債務名義)
第二十二条  強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

一  確定判決

二  仮執行の宣言を付した判決

三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

三の二  仮執行の宣言を付した損害賠償命令

四  仮執行の宣言を付した支払督促

四の二  訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)若しくは家事事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

五  金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

六  確定した執行判決のある外国裁判所の判決

六の二  確定した執行決定のある仲裁判断

七  確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

執行文の付与 民事執行法第二十六条

執行分の付与は、申し立てにより、裁判所の書記官、執行証書(公正証書)は公証人が付与します。

 

執行分の付与された支払い督促例

 

平成 年(ロ)00号支払督促1、金00円  ただし、債権者が債務者に対して、平成 年 月 日00の約束で貸つけた元金
2、金00円  ただし、督促手続き費用上記支払い督促に記載した金額につき、仮に執行することが出来る。平成 年 月 日
東京簡易裁判所 書記官  大田 一郎

 

 

(執行文の付与)
第二十六条  執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。

2  執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

債務名義等の送達 民事執行法第二十九条

強制執行は、債務名義が債務者に送達されて、開始することが出来ます。

 

(債務名義等の送達)
第二十九条  強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

不動産に対する強制執行 不動産執行の方法 民事執行法第四十三条

土地及びその定着物(庭石、石灯篭を除く)、マンションは不動産でありこれらの強制執行は、強制競売又は強制管理で行い、又は併用できます。

 

(不動産執行の方法)
第四十三条  不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「不動産執行」という。)は、強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。

2  金銭の支払を目的とする債権についての強制執行については、不動産の共有持分、登記された地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有持分は、不動産とみなす。

強制競売開始決定等 民事執行法第四十五条

強制競売は債務者のマンション・不動産を差し押さえ、これを競売に付しその売価より弁済に充てる執行手続きです。

執行裁判所は、債権者(執行力のある債務名義を有)の申し立てのより手続きしなければなりません。その申し立ての要件が具備していれば、強制競売の開始を決定し、債務者のマンション、土地建物、不動産が差し押さえられます。

強制競売申立書見本

                 強制競売申立書東京地方裁判所民事 部御中
平成〇年〇月〇日
申し立て債権者  大田 マンション太郎
住所  東京都大田区蒲田0-0-0
TEL  03-00-00当事者     別紙目録
請求債権   別紙目録
目的不動産  別紙目録債権者は、債務者に対して別紙請求目録記載の執行力ある公正証書の正本に表示された上記債権を有しているが、債務者がその支払いをしないので、債務者所有の上記不動産に対する強制競売手続きの開始を求める。添付書類1、執行力ある公正証書原本  一通
2、同謄本送達証明書      一通
3、不動産登記簿謄本      二通
4、効果証明書           一通

 

競売開始決定の見本(担保不動産)

                                  平成 年(ケ)第 号担保不動産競売開始決定当事者      別紙目録のとおり
担保権      別紙目録のとおり
被担保債権   別紙目録のとおり
請求債権    別紙目録のとおり債権者の申し立てにより、上記請求債権の弁済に充てるため、別紙担保目録記載の不動産について、担保不動産競売手続きを開始し、債権者のためにこれを差し押さえる。平成 年 月 日
東京地方裁判所 民事部
裁判官 マンション 太郎

(開始決定等)
第四十五条  執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。

2  前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。

3  強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

差押えの登記の嘱託等 民事執行法第四十八条

マンション、土地建物、不動産の強制競売の開始が決定されたとき、裁判所書記官は、差し押さえの登記を嘱託し、当期間はその嘱託に基づきマンション、土地建物、不動産の差し押さえの登記をしなければなりません。

 

(差押えの登記の嘱託等)
第四十八条  強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。

2  登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記事項証明書を執行裁判所に送付しなければならない。

開始決定及び配当要求の終期の公告等 民事執行法第四十九条

マンション、土地建物、不動産の強制競売の開始決定による差し押さえの効力が生じた場合、裁判所書記官は、物件明細書(三点セット)の作成までの時間を考慮に入れて配当要求の終期を決めなければなりません。

債権者は、その時までに配当要求しなければなりません

 

(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第四十九条  強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、裁判所書記官は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。

2  裁判所書記官は、配当要求の終期を定めたときは、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。

一  第八十七条第一項第三号に掲げる債権者

二  第八十七条第一項第四号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)

三  租税その他の公課を所管する官庁又は公署

3  裁判所書記官は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。

4  裁判所書記官は、前項の規定により配当要求の終期を延期したときは、延期後の終期を公告しなければならない。

5  第一項又は第三項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

6  第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。

地代等の代払の許可 第五十六条

 

(地代等の代払の許可)
第五十六条  建物に対し強制競売の開始決定がされた場合において、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権について債務者が地代又は借賃を支払わないときは、執行裁判所は、申立てにより、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がその不払の地代又は借賃を債務者に代わつて弁済することを許可することができる。

2  第五十五条第十項の規定は、前項の申立てに要した費用及び同項の許可を得て支払つた地代又は借賃について準用する。

現況調査 民事執行法第五十七条

執行裁判所は、執行官に、マンション、土地建物、不動産の現況の調査を命じなければなりません。そして執行官は下記条文の定めに従い、追行のための権限が定められています。

 

(現況調査)
第五十七条  執行裁判所は、執行官に対し、マンション、土地建物、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。

2  執行官は、前項の調査をするに際し、マンション、土地建物、不動産に立ち入り、又は債務者若しくはそのマンション、土地建物、不動産を占有する第三者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。

3  執行官は、前項の規定によりマンション、土地建物、不動産に立ち入る場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。

4  執行官は、第一項の調査のため必要がある場合には、市町村(特別区の存する区域にあつては、都)に対し、マンション、土地建物、不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を、不動産がマンション、建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができる。

5  執行官は、前項に規定する場合には、電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができる。

評価 民事執行法第五十八条

執行裁判所は、評価人(不動産鑑定士)を選任し、マンション、土地建物、不動産の評価をさせます。この評価する場合においては、見せかけの賃貸借契約等の実態を解明できるよう、電気、ガス、水道等の使用状況も調査します。

 

(評価)
第五十八条  執行裁判所は、評価人を選任し、不動産の評価を命じなければならない。

2  評価人は、近傍同種の不動産の取引価格、不動産から生ずべき収益、不動産の原価その他の不動産の価格形成上の事情を適切に勘案して、遅滞なく、評価をしなければならない。この場合において、評価人は、強制競売の手続において不動産の売却を実施するための評価であることを考慮しなければならない。

3  評価人は、第六条第二項の規定により執行官に対し援助を求めるには、執行裁判所の許可を受けなければならない。

4  第十八条第二項並びに前条第二項、第四項及び第五項の規定は、評価人が評価をする場合について準用する。

売却に伴う権利の消滅等 民事執行法第五十九条

マンション・不動産が売却されたばあいに、そのマンション、土地建物、不動産上に存する権利は買い受け価格におおきな意味を持ちます。

①マンション・不動産に存する先取り特権、使用及び収益をしない定めのある質権、抵当権は・・消滅

②売却により担保権に対抗できない権利(抵当権設定後に設定された用益権)、差し押さえ・仮差押えに対抗できないマンション、土地建物、不動産上の権利(用益権)・・効力を失う

③マンション、土地建物、不動産の差し押さえ・仮差押えの執行及び売却により消滅する担保権、仮差押えに対抗できない仮処分の執行・・効力を失い

④マンション、土地建物、不動産上の留置権、使用収益を伴う質権・・買受人が引き受ける。

 

(売却に伴う権利の消滅等)
第五十九条  不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。

2  前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。

3  不動産に係る差押え、仮差押えの執行及び第一項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。

4  不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第二項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによつて担保される債権を弁済する責めに任ずる。

5  利害関係を有する者が次条第一項に規定する売却基準価額が定められる時までに第一項、第二項又は前項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による不動産の上の権利の変動は、その合意に従う。

売却基準価額の決定等 民事執行法第六十条

執行裁判所は、評価人の評価により、マンション・不動産の売却の基準となる「売却基準価額」を定めます。買受人の入札する際の買い受け申し出額は「売却基準価額」の2割を除した金額が「買い受け可能額」となります。

例えば、売却基準価額が1000万円の場合は買い受け可能金額は800万円以上の金額になります。

 

(売却基準価額の決定等)
第六十条  執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)を定めなければならない。

2  執行裁判所は、必要があると認めるときは、売却基準価額を変更することができる。

3  買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。

物件明細書 民事執行法第六十二条

裁判所書記官は、以下の内容を物件明細書(三点セット)を作成しなければなりません。

①マンション・不動産の表示

②マンション・不動産に係る権利の取得及び処分の執行でその効力を失わないもの(例えば、留置権の設定された、ソーラーパネル、エコ給湯など金額がはり、その設置にローンを組む場合等)

③売却により設定されたとみなされる地上権の概要(マンションに関しては区分建物とその敷地件が一体として処理されるため、強制競売により法定地上権の発生することは通常考えられませんが、中には敷地一部が敷地件設定の登記がなされていないケース等もあり、注意を要します。)

 

(物件明細書)
第六十二条  裁判所書記官は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成しなければならない。

一  不動産の表示

二  不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの

三  売却により設定されたものとみなされる地上権の概要

2  裁判所書記官は、前項の物件明細書の写しを執行裁判所に備え置いて一般の閲覧に供し、又は不特定多数の者が当該物件明細書の内容の提供を受けることができるものとして最高裁判所規則で定める措置を講じなければならない。

3  前二項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

4  第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。

剰余を生ずる見込みのない場合等の措置 民事執行法第六十三条

剰余主義の原則

マンション、土地建物、不動産の売却基準価額から、執行手続きの費用、差し押さえ債権者より優先する債権(抵当権、先取り特権)の合計額を差し引いて剰余(余剰)の見込みがない場合には、マンション、土地建物、不動産の強制競売が認められません。

但し以下条文の定めにより、その不足する分の金額を保証金として提供する等で強制競売の手続きが続行できる途もあります。

尚、マンションの管理費の延滞によるマンションの強制競売において、剰余の見込みのない場合でも、保証金を立てることなく強制競売が認められたケースもあります。それは、区分所有法第59条の規定による競売は、マンション区分所有者の区分所有権を売却することによってマンション区分所有者の区分所有権を剥奪することを目的とするものであって、配当を全く予定していないものであり、競売の申立人に配当される余剰を問題とする余地は無いとして、無剰余取り消しを適用しないとした判例があります。(東京高裁判所平成16年5月20日)

 

(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)
第六十三条  執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。

一  差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。

二  優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。

2  差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、優先債権がない場合にあつては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあつては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者が、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であつて不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者(買受可能価額で自己の優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。)の同意を得たことを証明したときは、この限りでない。

一  差押債権者が不動産の買受人になることができる場合申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供

二  差押債権者が不動産の買受人になることができない場合買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と買受可能価額との差額に相当する保証の提供

3  前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、買受可能価額以上の額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。

4  第二項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。

売却の方法及び公告 民事執行法第六十四条

①マンション・不動産の売却は、裁判所の書記官が定める方法による。

②マンション・不動産の売却の方法は入札、競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。

③裁判所書記官が、マンション・不動産の入札、競り売りにより売却する時は、売却の日時場所を定めて、執行官に売却を実施させます。

④裁判所書記官が、マンション・不動産の売却決定日を指定します。

⑤裁判所書記官が、売却すべきマンション・不動産の表示、売却基準価額、売却の日時、場所を公告します。

 

 

(売却の方法及び公告)
第六十四条  不動産の売却は、裁判所書記官の定める売却の方法により行う。

2  不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。

3  裁判所書記官は、入札又は競り売りの方法により売却をするときは、売却の日時及び場所を定め、執行官に売却を実施させなければならない。

4  前項の場合においては、第二十条において準用する民事訴訟法第九十三条第一項 の規定にかかわらず、売却決定期日は、裁判所書記官が、売却を実施させる旨の処分と同時に指定する。

5  第三項の場合においては、裁判所書記官は、売却すべき不動産の表示、売却基準価額並びに売却の日時及び場所を公告しなければならない。

6  第一項、第三項又は第四項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

7  第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。

売却の見込みのない場合の措置 民事執行法第六十八条の三

マンション・不動産の中には、公売をしても売却の見込みがないものもあります。債権者が競売の申し立てを取り下げない限り、見込みのない競売手続きを繰り返して行うことは、裁判所にとっても時間と労力と費用の無駄になりますので、執行裁判所は、売却手続きを3回繰り返しても買い受けの申し出がない場合には競売手続きを停止することが出来ます。

 

(売却の見込みのない場合の措置)
第六十八条の三  執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。

2  差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から三月以内に、執行裁判所に対し、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、裁判所書記官は、第六十四条の定めるところにより売却を実施させなければならない。

3  差押債権者が前項の期間内に同項の規定による売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができる。同項の規定により裁判所書記官が売却を実施させた場合において買受けの申出がなかつたときも、同様とする。

売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告 民事執行法第七十四条

マンション、土地建物、不動産の執行裁判所の決定(売却許可、不許可の決定)に対して、自己の権利が侵害される時に限り「執行抗告」をすることが出来ます。

 

(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第七十四条  売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。

2  売却許可決定に対する執行抗告は、第七十一条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。

3  民事訴訟法第三百三十八条第一項 各号に掲げる事由は、前二項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。

4  抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。

5  売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。

民事執行法第83条(引渡命令)

 

(引渡命令)
第八十三条  執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。

2  買受人は、代金を納付した日から六月(買受けの時に民法第三百九十五条第一項 に規定する抵当建物使用者が占有していた建物の買受人にあつては、九月)を経過したときは、前項の申立てをすることができない。

3  執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、事件の記録上その者が買受人に対抗することができる権原により占有しているものでないことが明らかであるとき、又は既にその者を審尋しているときは、この限りでない。

4  第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

5  第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

動産に対する強制執行 動産執行の開始等 民事執行法第百二十二条

民法では土地及びその定着物(マンション含む)を不動産とし、それ以外を動産と定義しています。(民法86条)有価証券、貴金属、預金、現金、等が該当しますが、それらの強制執行は、執行官が差し押さえることで開始します。

動産執行に費やされる費用は執行費用として執行官が受領出来ます。

 

(動産執行の開始等)
第百二十二条  動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。

2  動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。

債務者の占有する動産の差押え 民事執行法第百二十三条

差し押さえは、執行官が動産を占有します。

執行官は債務者の住居その他占有する場所に立ち入り、金庫、その他捜索でき、必要に応じては金庫等を開ける処分が出来ます。

また、以下条文の権限があります。

 

(債務者の占有する動産の差押え)
第百二十三条  債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。

2  執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。

3  執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。

4  執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。

5  執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。

差押物の引渡命令 民事執行法第百二十七条

差し押さえ対象物が第3者の占有となっている場合には、執行裁判所は債権者の申し立てにより、引き渡し命令することが出来ます。この申し立ては、占有を知ってから1週間の間にしなければなりません。

 

(差押物の引渡命令)
第百二十七条  差押物を第三者が占有することとなつたときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その第三者に対し、差押物を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。

2  前項の申立ては、差押物を第三者が占有していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。

3  第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

4  第五十五条第八項から第十項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。

剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等 民事執行法第百二十九条

差し押さえる動産の売却代金が、手続き費用を超える見込みがない時は、執行官は差し押さえをすることは出来ません。また、売却代金が、手続き費用及び差し押さえ債権者の債権に優先する債権の額の合計以上になる見込みがない時は、執行官は差し押さえを取り消さなければなりません。

 

(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第百二十九条  差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。

2  差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。

差押禁止動産 民事執行法第百三十一条

差し押さえが禁止されていものもあります。

①債務者の生活必需品

②1か月の食糧等

③2カ月相当の生活費

以下条文に定められています。

 

(差押禁止動産)
第百三十一条  次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

一  債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具

二  債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料

三  標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

四  主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

五  主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

六  技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)

七  実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの

八  仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物

九  債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類

十  債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物

十一  債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具

十二  発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの

十三  債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する

物十四  建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

先取特権者等の配当要求 民事執行法第百三十三条・売却の方法 第百三十四条

売却代金の配当を要求できるのは、先取り特権又は質権を有するものが配当要求することが出来ます。

旧法時代には債権者は誰でも配当を要求できましたが、現在は限定されました。

売却の方法は入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によります。

 

(先取特権者等の配当要求)
第百三十三条  先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。

(売却の方法)
第百三十四条  執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。

債権及びその他の財産権に対する強制執行 債権執行の開始 民事執行法第百四十三条

債権及びその他の財産権に対する強制執行

債務者が第3債務者に持っている債権は

①金銭の支払い(債務者がその勤務先に有する労働対価としての給料等)

②船舶若しくは動産の引き渡しを目的とする債権(著作権、特許権等)

ですが、これらの執行は「債権執行」ともいわれ、執行裁判所の差し押さえ命令により開始されます。

 

(債権執行の開始)
第百四十三条  金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。

差押命令 民事執行法第百四十五条

執行裁判所は、この差し押さえ命令で、債務者に対して債権の取り立て禁止、その処分の禁止を命ずることが出来、又、第3債務者(勤務先代表者等)に対しても債務者(社員)の弁済(給料等の支払い)の禁止を命ずることが出来ます。

 

(差押命令)
第百四十五条  執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。

2  差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。

3  差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。

4  差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。

5  差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第三債務者の陳述の催告 民事執行法第百四十七条

差し押さえ命令は、債権が、第三債務者又は債務者に確かめることなく送達されます。債権が本当にあるのかどうか確かめるため、裁判所書記官は、第三債務者に対して陳述すべきことを催告します。

これに対して、故意又は過失により誤った陳述をしたりあるいはしなかったりした場合、そのことにより生じた損害は賠償しなければなりません。

 

(第三債務者の陳述の催告)
第百四十七条  差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。

2  第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

継続的給付の差押え 民事執行法第百五十一条

給料等の継続的に収入に対しての債権についての差し押さえは、差し押さえ後の収入にも及びます。

 

(継続的給付の差押え)

第百五十一条  給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。

差押禁止債権 民事執行法第百五十二条

債務者の生活の維持するための、給料、退職金、及び以下条文の項目に係るものについては、原則として4分の3については差し押さえることはできません。

 

(差押禁止債権)
第百五十二条  次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。

一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権

二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権

2  退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。

3  債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
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