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マンション管理費の延滞

平成21年、国土交通省発表の資料によればマンション管理費延滞戸数割合は平成20年度で38.5パーセントとのことです。

マンション居住者の高齢化、高賃貸比率化、マンション自体が古くなることによる修繕費等維持費負担増加、経済環境による閉塞化、など管理費延滞は今後、問題が深刻化するのではないでしょうか。

管理費延滞が生ずると、マンション管理会社に管理を委託している場合、マンション管理会社は管理委託契約書に沿って業務を行います。一般的には、延滞者に電話、訪問、請求などの督促をして、それでも支払されない場合、管理会社の仕事はそこまでとなります。また、マンション管理組合の役員は1年~2年で交代しますので、延滞管理はそのまま放置され、どんどん増えてしまうのです。

マンション管理費延滞により生ずる問題

マンション管理費延滞がありますと、マンションの大規模修繕など金融機関より借り入れする場合に弊害が出てきます。住宅金融支援機構の規定によれば、管理費の延滞率が10パーセント以下のマンション管理組合が融資対象となっていますので、今後借り入れなど予定されているマンション管理組合は注意が必要です。
また、マンション管理会社を変更する場合など、管理費延滞が多く、財務的に問題があり、とされた場合、管理会社からも敬遠されることも予想されます。

また、滞納区分所有者の債権を放棄するようになってしまう場合は、法人化されている管理組合法人と、そうでないマンション管理組合のその処理方法が違ってきます。

  • マンション管理組合法人の場合

集会の普通決議で債権放棄が可能です。

  • マンション管理組合の場合

区分所有(マンション)法には規定されていませんので、民法の適用になり、区分所有者全員の同意がないと債権放棄ができません。

マンション管理組合の会計担当をしている理事ですが、ここ1年間管理費を滞納している区分所有者がいます。督促しても支払ってもらえません。理事会で今後の処理方法を話し合うことになっています。マンション管理組合も管理費延滞者に対して競売の申し立てができると聞いたのですが可能でしょうか?

区分所有(マンション)法に義務違反者に対して「区分所有権の所有権の競売請求」(区分所有(マンション)法第59条)ができる条文があります。この59条が適用できるのは、条文の中に”その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法でによっては障害を除去、共同生活の維持が困難であるとき”とされています。東京地裁の判例では

34か月管理費延滞は「共同の利益に反する行為」該当しかつ、他の手立て、(滞納区分所有者の預貯金の差し押さえ)、管理組合が取り得る手段のほとんどを講じているとして区分所有法59条の要件を満たしているとした判例があります。競売申請認めた判例(管理費)へ

 

一方、競売の申し立てを行うには管理組合が取り得る手段を尽くしたとは言えない、として認めなかった判例もあります。

区分所有法第59条が適用できるためには、共同の利益に反する延滞が長期に及び、かつ、他に手だてがない場合競売請求できることになります。管理費を延滞し迷惑をかけているにしても、人の権利に対して大きな影響を及ぼすこの「競売請求」は権利の濫用とならないようになっています。競売申請を認めなかった判例(管理費)へ

 

まず、マンション管理組合の取るべき手立ては、内容証明による請求を行い、少額訴訟などの法的手続きを取ることが考えられます。また、第三者(マンション管理士等)を通して話し合い、分割での支払いの交渉をし、書面に残しておくことが大事です。”できることはすべて行った”ということ、”そしてこれ以上やりようがない”、ことが分かるようにしなければなりません。

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