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1、地代の延滞
債務者が地主に地代支払いを延滞しているケースでは要注意となります。地代支払い延滞は債務不履行となるため、借地契約が解除されれてしまうからです。
任意売却又は競売そのいずれにおいても、建物に付随する借地権が消滅してしまえば、その建物は不動産価値としては材木の価値となってしまいます。
競売においても、民事執行法第56条では以下のように定められています。
(地代等の代払の許可) 第五十六条 建物に対し強制競売の開始決定がされた場合において、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権について債務者が地代又は借賃を支払わないときは、執行裁判所は、申立てにより、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がその不払の地代又は借賃を債務者に代わつて弁済することを許可することができる。2 第五十五条第十項の規定は、前項の申立てに要した費用及び同項の許可を得て支払つた地代又は借賃について準用する。 |
つまり、債務者が地代を延滞した場合、借地契約解除を回避するため、強制競売の開始が決定された場合には、債務者が地代を支払わない場合には、債権者は、裁判所に申請し、債務者に代わって地代を地主に支払い、借地契約の債務不履行となることを回避し借地権が消滅することを防止することが出来るようになっています。
債権者として最も注意することことは、債務者と地主が借地権の合意解約をしてしまい、借地権が消滅してしまうことにあります。債権者は、債務者と敵対し争うことは、このようなリスクも生ずることから、借地権には相当注意する心構えが必要となります。
2、共有名義
任意売却において障害(障壁)となることがあります。
それは、「共有名義」です。共有は民法第249条から第264条までの16条からなる条文で規定されています。
第249条(共有物の使用)、第250条(共有持ち分の割合の推定)、第251条(共有物の変更)、第252条(共有物の管理)、第253条(共有物に関する負担)、第254条(共有物についての債権)、第255条(持ち分の放棄及び共有者の死亡)、第256条(共有物の分割請求)、第258条(裁判による共有物の分割)、第259条(共有に関する債権の弁済)、第260条(共有物分割への参加)、第261条(分割における共有者の担保責任)等。 |
以上の規定により、
①共有名義となっている不動産・借地権付き建物を売却する場合、「売却する行為」は「共有物の変更」となるため、共有者全員の合意が必要となります。5人の共有になっていれば、5人全員の売買契約書の署名、又は実印押印のある委任状、そして、所有権移転登記においても各自の印鑑証明書、登記委託委任状等の書面が、ひとつとして欠けてもいけません。
各共有者はそれぞれの思惑がありますから、全員の一致をみることは大変難しく、ましてや、任意売却で売却した後も残債が残ってその負担があるとすればなおさらです。
②共有名義の建物を改築する場合も、「共有物の変更」に該当します。借地権建物で改築する場合には共有者全員の同意がなければ改築は出来ません。また、改築には地主の承諾が必要となりますから、借地権で共有になっている建物は、どうしても放置されがちになり、荒れ果ててしまう傾向があります。共有者はそれぞれ懐事情も違い、余裕のあるなしで意見が定まらず、持ち分に応じて改修費用を出し合うことは難しくなります。
以上のことから、借地権付建物で尚且つ、共有建物の場合は、処分するにしても改修するにしても意見の一致がハードルになり、にっちもさっちもいかなくなります。
借地権の存続期間
旧借地法と借地借家法では借地権の存続期間に異なる定めが規定されています。
Ⅰ旧借地権の存続期間
1、非堅固建物で
①最初の存続期間の定めがされていない場合は、存続期間は借地権発生時から30年となります(旧借地法第2条1項)
②最初の存続期間の定めがある場合は、当事者間で20年以上の期間を定めた場合はその期間(旧借地法第2条2項)
③更新後の期間に定めがない場合は、更新後の存続期間は20年となります(旧借地法第5条1項)
④更新後の存続期間に定めがある場合には、当事者間で20年以上の期間を定めた場合にはその期間による(旧借地法第5条2項)
2、堅固建物
①最初の存続期間の定めがない場合は、借地権発生時点から60年となります(旧借地法第2条1項)
②最初の存続期間の定めがある場合は、当事者間で30年以上の期間を定めた場合にはその期間(旧借地法第2条 2項)
③更新後の存続期間の定めがない場合、更新後の存続期間は30年となります(旧借地法第5条1項)
④更新後の存続期間の定めがない場合、当事者間で30年以上の更新後の存続期間を定めた時はその期間(旧借地法第5条2項)
3、建物朽廃による旧借地権消滅
当事者間で有効な期間を定めている場合(最初の存続期間、更新後の存続期間)は、その建物が朽廃しても借地権が消滅することはありません。
最初に存続期間の定めがない場合及び更新後の存続期間を定めていない場合にはその建物の朽廃した場合には借地権は消滅します。(旧借地法第2条1項ただし書き・5条1項後段)
4、建物の滅失
①再築するにつき遅滞なき異議がない場合
旧借地権が消滅する前(最初の存続期間中又は更新後の存続期間中)に建物が滅失した場合、借地権者が残存期間を超えて存続するような建物を築造した時(築造しようとしている)は、地主は異議を唱えることが出来ます。
借地権者が残存期間を超えて存続する建物を築造することについて地主が異議を唱えなかったときは、
・非堅固建物所有目的の旧借地権は建物滅失の日から起算して20年
・堅固建物所有目的の旧借地権は建物滅失の日から起算して30年
存続することになります(旧借地法第7条)。
②再築につき遅滞なき異議があるとき
旧借地権が存続期間中(最初の存続期間、更新後の存続期間)に建物が滅失した場合、借地権者が残存期間を超えて存続する建物を築造することについて、地主が遅滞なく異議を述べた場合でも借地権者は建物の再築が出来なくなることは無く、再築が違法ということにもなりません。
ただし、増改築禁止特約がある場合に、地主の承諾、裁判所の代諾を得ない場合での再築、増築は違法となります。
残存期間を超えて存続する建物を再築して、地主の遅滞なき異議があるときは、存続期間の延長はありません。この存続期間が満了した時、原則借地契約は更新します。
注・・・遅滞なくとは、築造を知って3~4カ月以内といわれています。
Ⅱ普通借地権の存続期間
借地借家法は、存続期間において堅固建物、非堅固建物の区分けを廃止し、両者を一律に扱うようにしました。(借地借家法17条)
1、普通借地権の最初の存続期間は30年です。(借地借家法3条)ただし、当事者間でそれより長い期間を定めた場合にはその期間とされます。また、30年未満の期間を定めたとしてもその定めは無効となり、存続期間は30年となります。
更新後の存続期間は、1回目の更新で20年、2回目の更新で10年となります(借地借家法第4条)。いずれもそれより長い期間を当事者が決めた場合にはその期間となります。
2、普通借地権の最初の存続期間中の建物滅失と再築
①地主の承諾がある場合
借地権存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を構築した場合、地主の承諾があるときは、承諾のあった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間に延長されます。(借地借家法第7条1項)
②地主の承諾がない場合
借地権者が最初の存続期間中に残存期間を超えて存続する建物を築造することについて地主の承諾がなかった場合には、存続期間の延長はありません。この場合においても、本来の期間が満了したとしても借地契約は原則更新されます。
3、更新後の存続期間中の建物滅失と再築
①地主の承諾がある場合
借地権更新後の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者が残存期間を超えて存続する建物を築造することについて、地主の承諾がある時は、承諾のあった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年延長されます。
②地主の承諾がなかった場合
普通借地権では、更新後の建物再築が制限されていますが、この点が旧借地権と異なるところです。
普通借地権更新後の存続期間中に建物が滅失した場合、地主の承諾を得ないで残存期間を超える建物を築造した場合、地主は借地契約の解消をすることが出来ます(借地借家法第8条2項)。この場合、地上権消滅請求、又は賃貸借解約申し入れの日から3ヶ月の経過を持って借地権が消滅します。(借地借家法第8条3項)
借地非訟とは
借地非訟(借地借家法第18条)とは、裁判手続きに言う「訴訟」ではありません。訴訟によらず当事者の双方の利害関係を考慮し、裁判所の裁量で調整を図ります。
借地に係る全ての紛争・争いが「非訟」事件とはなりません。非訟事件は借地借家法第17条から第20条までの争いに係るものに限られます。地主が名義変更に応じない、地代が高い、等、これらの承諾を裁判所が地主に代わって行うもので、裁判所に申し立てします。
申し立てがあれば、裁判所は、鑑定員で組織される鑑定委員会に問題の土地に関する更地の価格、借地の価格、取引慣行など専門的知識が必要とされる調査を依頼し、意見を求めます。そして、裁判所は事実関係を調査し、当事者の衡平な利益を考慮し、裁判所の裁量で判断されます。
1、借地権付き建物の売却の場合(借地借家法第19条)
借地権付き建物を売却するには「地主の承諾」が必要になります。(借地借家法第19条)
借地権は物権ではなく「債権」ですから、民法の第467条に定める債権の譲渡に必要なこととして「債権者が債務者に対して通知又は債務者が承諾をしなければ効力を生じない」とされています。この民法の特別法である借地借家法でその効力が生ずるには「承諾」が必要であることを定めています。
原則、債権は売買が自由に行われなければ、その流通性も失われてしまいます。
ただし、どのような状況においても地主の承諾が要件とされてしまった場合に、地主の権利の濫用があってはなりません。
2、借地条件の変更・増築等(借地借家法第17条)
借地借家法第17条では、借地条件(地代、期間、名義変更等)及び建物の増築、改築等の当事者間の話し合いが整わない場合には、裁判所は当事者の申し立てにより、その変更又は許可を命ずることが出来ます。
3、借地契約の更新後の建物再築(借地借家法第18条)
借地契約を更新した後で、新たに建物を新築する場合に、地主の承諾が得られない場合に規定です。
4、競売で借地上の建物を競落(借地借家法第20条)
競売で競落した場合において、地主が承諾しない場合、裁判所はその申し立てにより、地主に代わって承諾することが出来ます。
尚、上記1,2,3における借地契約で、借地人に不利となる特約は無効となります。(借地借家法第21条)
借地明け渡しの正当事由
地主が借地契約を終了させ、立ち退きを行うには正当事由が必要となります。
自由契約においては、原則契約が終了した時に借地人は地主に借りていた土地を明け渡さなければなりません。しかし、土地の上に建つ建物が十分に使える状況であるならば、それを取り壊し更地にして返すことは借地人にとっては不利益となり、社会的経済的にも問題があります。
そこで、借地借家法では、借地人と地主の個別的な事情を比較衡量しそれぞれの事情を総合的に判断して借地契約を終了させるか否かの判定をする旨定められています。
正当事由の判断では
①地主と借地人のそれぞれの土地使用の必要性
②借地に関する従前の経過
③土地の利用状況
④立ち退き料の申し出の有無
以上が考慮され総合的に判断されます。
地主に有利とされる事情
・地主、その家族の居住目的で生活の都合で家を建てる
・地主が代表を務める会社の事務所、工場のために土地を利用
・土地の高度利用が要求される事情
・地主が生活の糧を得るための土地の有効利用
・相当の立ち退き料、代替地の提供
・建物の老朽化
・賃料が定額である
・借地人が背信行為がある
借地人が有利とされる事情
・借地人が借地建物を生活の本拠として長年居住
・借地上建物で生活・営業する必要性がある
・借地人が他に宅地や建物を所有していない
・借地人自らが居住している
・借地契約時に高額な権利金を支払っている
・建物の耐用年数が十分残っている
・借地人の、健康、経済上、家族、職業の都合で転居が困難
・地主が代物弁済や土地ころがし等で取得した土地である
定期借地権とは
定期借地権の種類
1、一般定期借地権は、平成4年に新たに借地借家法第22条で規定されました。従来の借地権との大きな違いのポイントは以下の通りです。
①借地期間は50年以上
②契約の更新は無く、契約終了。
③契約は書面又は公正証書による。
定期借地権は、契約時に保証金を支払い、月々地代を支払いますが、この保証金に対しては無利息で、解約時に返還されます。
従来の普通借地権は「借地権」としての権利を購入し、土地の値上がり益「キャピタルゲイン」も享受出来ますが、定期借地権はこの値上がり利益の享受はありません。
保証金・・
借地期間によって、借地期間50年で土地価格の20%、60年で25%、70年で30%等、に決められます。この保証金は借地期間終了後に返還されますが、建物等の取り壊し費用が必要になればその費用に充当されます。この保証金の保全のために、借主は地主の土地に抵当権を設定するのが一般的です。
地代・・
地代は土地価格の1%程度になります。(借地期間50年)
また、地代は、土地の価格の変動、固定資産税の変動に応じて3年ごとに改訂されます。
2、建物譲渡特約付借地権は、借地借家法第24条に規定され、
①借地期間を30年以上とし、
②借地権設定後30年経過した日に借地上の建物の時価において地主に譲渡する特約付の契約です。
3、事業用借地権は、借地借家法第23条に規定され、あくまで事業用としての用途になり
①借地期間は10年以上20年以下
②公正証書による契約
③特約により更新契約可
普通借地権との比較
普通借地権 | 定期借地権 | |
権利 | 土地上部の権利の売却 | 土地の利用のみ |
キャピタルゲイン | 借地権割合で享受 | 土地所有者が享受 |
更新 | ○ | × |
期間の延長 | ○ | × |
建物買い取り請求 | ○ | × |
土地の返還 | × | ○ |
地代 | 安い | 高い |
一時金 | 権利金方式 | 保証金方式 |
一時金の金額 | 土地価格の60% | 土地価格の20% |
税金 | 譲渡税 | 非課税 |
(東洋経済新報社 定期借地権住宅一部抜粋)
従来の普通借地権は物権化した借地権と言われますように、一度貸したら、帰ってこないものとなってしまいました。その点、定期借地権は物権化した従来の借地権と画しました。
借地権は債権ですから、本来の本質を具体化したのが定期借地権であると思います。
定期借地権地主のメリット
①土地は契約期間満了で必ず返る。
②土地の値上がり益(キャピタルゲイン)は地主に帰属。
③固定資産税・都市計画税が安くなる。
④相続税評価額が減額
⑤アパートの運営と比較すれば手間・煩わしさがない。
定期借地権地主のデメリット
①一般定期借地権の場合は、50年間の長期にわたり地主自身土地の利用が出来ません。
借地権トラブル・裁判例
裁判例1、賃料自動増額特約付賃貸借契約でも、借地借家法に基づく地代等増減請求権の行使が認められた例。
概略
土地借主Xは昭和62年7月 、土地貸主Yとの土地賃貸借契約を下記条件にて締結した。
・利用目的 大規模小売店舗を建設
・期間 35年間
・月額賃料633万円(土地価格の8%の12分の1相当)
・賃料見直しは3年後に当初賃料の15%増、次回以降3年ごとに10%増額
・経済情勢によっては賃料は別途協議
この契約の締結された時期はバブル経済の時期であり、地価の上昇が急激であった。本件土地公示価格は1㎡当たり345万円(契約時)であった。その後の平成6年7月には半額以下の126万円に下落した。
本件土地賃貸借契約特約により、平成3年7月に15%増額された。そして3年後には10%増額された。
平成9年7月に、土地賃借人Xはさらなる増額は不合理であるとして、従来の賃料を支払い続けた。そしてXは平成9年12月、土地賃料を20%減額し、月額640万円とするようYに要求したが、Yはそれを拒否した。
Yは、Xに対して土地賃貸借契約特約に基づき支払うよう催告した。
借主Xの主張
借地借家法第11条「契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。」 の規定は強硬規定であり、自動増減特約があっても土地賃借人は賃料が不相応となった場合は減額請求出来る。
貸主Yの主張
土地賃料自動増額特約は有効であり、土地賃貸借契約特約に従うべきである。
判決
最高裁判所は貸主Yの地代増額請求を棄却した。
借地借家法第11条第1項の規定は、強行規定である。一方の地代の額について本来当事者の自由な合意において決定されるものであり、将来の額を特約で決めることもできる。
地代自動増減特約は、地代の改定基準が、借家法第11条第1項の規定する経済事情の変動等を示す指標に基づく相当のものである場合にはその効力を認めることが出来る。しかし、不相当となった場合には、同特約に拘束されるものではない。
本件土地地代に関しては、不相当となったというべきであり、もはや借主Xは本件特約に拘束されない。
よって、土地貸主Yの地代増額請求は棄却し、原審に差し戻す。
(最高裁 平成15年6月12日)
借地借家法の変遷・改正要点
借地借家法の変遷
・明治29年・・・・「民法」において土地利用権として”地上権” ”賃借権”を規定
・明治42年・・・・「建物保護法制定・施行」 建物の保存登記することで、借地権者が第3者に対抗すると
が出来よう定められた。
・大正10年・・・・「借地法」の制定・施行 借地期間満了時における借地権者の建物買い取り請求権等が規定
された。
「借家法」の制定・施行 借地法と同時に定められ、建物の引き渡しを受けていれば、建物賃
借権の登記なくとも第3者に対抗できる。1年未満の期間の定めた契約を無効とする等。
・昭和16年・・・・「借地法」の改正 更新拒絶要件に”正当事由”を付した。
・昭和41年・・・・「借地法」の改正、借地非訟手続きを導入し、建物譲渡・賃借権譲渡の認容、借地条件変更
の認容
「借家法」の改正 居住用建物の賃借人が相続人無くして死亡した場合に、同居人(内縁の
妻)が賃借権を承継出来るとし、賃料の増減請求に関しても改正された。
・平成3年・・・・・「借地借家法」の制定 この法律の施行に伴い、建物保護法、借地法、借家法は廃止された。
平成3年改正の要点
①旧借地法等の一本化
実質的に建物保護法、旧借地法、旧借家法が一本化されました。
②借地存続期間
旧借地法では、堅固建物と非堅固建物のそれぞれの借地存続期間が 設けられていましたが、その差異を無くし、存続期間を変更しました。また、建物の朽廃での借地権消滅制度を廃止しました。
③定期借地権
契約期限を定め、一定の時期で必ず終了する借地権を創設されました。
④定期借家権(定期建物賃貸借)
契約期限で更新しない旨の特約を定めたり、建物の取り壊し時に終了するとすることも出来ます。
⑤正当事由を明確化
貸主が借地契約を解消するには正当な事由が必要ですが、具体的で、明確に定められました。
⑥調停前置き主義
賃借人・借地人の賃料等の争いにおいては、訴えを提起する前に調停を申し立てなければなりません。
⑦転借地
転借地に関する規定を設け、法律関係の曖昧さを解消しました。
地代・名義変更料等
1、地代(旧法借地)
東京都23区における 平成24年1月1日現在の地代は
・住宅地の平均地代で月額1,110円/3.3㎡程度であり、
・普通商業地で住宅地地代の1.77倍の月額1,963円/3.3㎡程度、
・高度商業地で住宅地地代の10.40倍、普通商業地の5.9倍の月額11,543円/3.3㎡程度となっています。
(「平成24年版」(社)東京都不動産鑑定士協会より)
一般的には住宅地で 固定資産税×3~5倍
商業地で 固定資産税×7~8倍
とされていますが
継続地代の実態調べ(平成18年版)日税不動産鑑定士会によれば
東京都23区内の住宅地系の対公租公課倍率 4.06倍(平成18年)
東京都23区内の商業地系の対公租公課倍率 4.12倍(平成18年)
(公租公課:年固定資産税額+年都市計画税額)
となっています。
2、承諾料
一般的には各承諾料に関しては下記に示すものとされています。
譲渡承諾料・・・借地権価格の10%
建替え承諾料・・更地価格の2~5%
堅固な建物への変更・・10%
建物の朽廃・滅失
建物の朽廃とは
建物が、自然的に腐蝕状況にあり、社会的・経済的効用を失った状態であり、土台や柱などが損壊し、壁が剥落、腐蝕した場合には「朽廃」とされたことが判例で示されています。(大判 昭和9年10月15日)(最高裁昭和33年10月17日)
あくまで自然現象により、自然の推移による腐朽損壊とされており、火災や、地震による倒壊はこれに該当しません。さらに、人が住んでいて生活しているような場合には、建物が老朽化していたとしても経済的社会的効用があるとされています。裁判において朽廃とされたケースでは、無人のまま何年にもわたり放置された場合です。(東京高裁 昭和52年8月29日)(東京高裁 平成5年8月23日)(東京地裁 平成2年9月27日)
建物の朽廃による借地権消滅
建物の朽廃につき、平成4年7月31日以前の旧法による借地契約の場合は借地権が消滅します。旧借地法第2条1項ただし書きでは”当事者が借地権の存続期間の定めをしない場合に建物が期間満了前に朽廃したときには、借地権はこれによって消滅する”とされていました。
しかし、新法では「建物の朽廃」しても借地権が消滅することはありません。
建物の滅失
建物の朽廃とは異なり、地震、風水害、火災、等の天災、人災により、取り壊しされた場合の滅失をいいます。
当然、旧法借地、新法借地借家法においても再築は可能となります。
借地権の割合(借地比率)
国土交通省「平成25年度住宅統計調査」による借地権割合は以下のとおりとなっています。
第21表より
件 | % | |
総数 | 32,281,400 | 100.0 |
所有地 | 30、666、800 | 95.0 |
一般借地 | 1、450、200 | 4.5 |
定期借地 | 164、500 | 0.5 |
メールによる相談は有料です。
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