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破産法 第2条(定義)
(定義)
第2条 この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。
2 この法律において「破産事件」とは、破産手続に係る事件をいう。
3 この法律において「破産裁判所」とは、破産事件が係属している地方裁判所をいう。
4 この法律において「破産者」とは、債務者であって、第30条第1項項の規定により破産手続開始の決定がされているものをいう。
5 この法律において「破産債権」とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第97条各号に掲げる債権を含む。)であって、財団債権に該当しないものをいう。
6 この法律において「破産債権者」とは、破産債権を有する債権者をいう。
7 この法律において「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。
8 この法律において「財団債権者」とは、財団債権を有する債権者をいう。
9 この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第65条第1項の規定により行使することができる権利をいう。
10 この法律において「別除権者」とは、別除権を有する者をいう。
11 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法 (平成十八年法律第百八号)第二条第九項 に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
12 この法律において「破産管財人」とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。
13 この法律において「保全管理人」とは、第九十一条第一項の規定により債務者の財産に関し管理を命じられた者をいう。
14 この法律において「破産財団」とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。
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任意的口頭弁論等 破産法第八条
破産手続き開始の申し立てがなされると裁判所は通常の民事訴訟のような口頭弁論を開いて債権者・債務者の主張、立証させる手続きは経ません。これは、破産手続きの迅速に行うためです。
また、一般の裁判手続きは弁論主義(裁判所は原告、被告の提出した証拠以外の証拠を取り調べることが出来ない)ではなく、裁判所自ら事件に係る証拠収集し調査が出来ます。
(任意的口頭弁論等)
第八条 破産手続等に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
2 裁判所は、職権で、破産手続等に係る事件に関して必要な調査をすることができる。
破産能力 破産法第13条
破産者となることが出来る資格を有するものを破産能力があるとされます。かつては、破産は商人に限られていました。しかし、現在においては、法人、自然人の誰でもが破産能力があります。マンションにおいては管理組合(法人化していない)も「権利能力なき社団」としての破産能力が認められます。
(民事訴訟法 の準用)
第十三条 破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法 の規定を準用する。
当事者能力及び訴訟能力(原則)
第二十八条 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。
破産手続開始の原因 破産法第十五条
破産手続きは破産する原因、理由がなければなりません。破産開始原因については、
①支払い不能
②支払い停止
③債務超過(会社のみ)
(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
破産手続開始の申立て 破産法第十八条
債務者に破産原因があったとしても裁判所が自ら破産開始決定を行うことは出来ません。破産開始決定がなされるには、破産開始の申し立ての権利を有する「申立て権者」の申し立てが必要です。破産開始の申し立て権者は
①債権者
②債務者本人
③準債務者(債務者ではない会社の取締役、理事等)
債権者が申し立てする場合には、申立人が債務者に債権を有している証明「疎明」をしなければなりません。
破産手続き開始(免責許可)申立書本籍 東京都大田区蒲田0-0-0 住所 東京都大田区蒲田0-0-0 申立人(債務者) マンション 太郎 申立人代理人弁護士 大田 一郎一、申し立ての趣旨 申立人について、破産手続きを開始する。(申立人について、免責を許可する)との決定を求める。 二、破産手続きの原因となる事実(支払い不能) 三、債務者の収入及び支出の状況、資産、負債の状況 四、破産手続き開始の原因となる事実が生じることとなった事情 五、債務者の財産に対してなされる他の手続き又は処分添付書類 1、住民票謄本 2、債権者一覧表 3、申立前1ヶ月間の収入、支出の計算書 4、債務者の収入の額を明らかにする書面 5、財産目録平成0年0月0日 申立代理人 大田 一郎 東京地方裁判所 御中 |
(破産手続開始の申立て)
第十八条 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
2 債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。
包括的禁止命令 破産法第二十五条 債務者の財産に関する保全処分 第二十八条
裁判所は破産手続き開始の申し立てされた時債務者の財産の処分を禁ずる仮差押えや、現状の変更を禁止する仮処分の手続きが出来ます。これらの保全処分は関係者の申し立てによるばあいと、裁判所の職権により行われます。
(包括的禁止命令)
第二十五条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第一号又は第六号の規定による中止の命令によっては破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての債権者に対し、債務者の財産に対する強制執行等及び国税滞納処分(国税滞納処分の例による処分を含み、交付要求を除く。以下同じ。)の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、債務者の主要な財産に関し第二十八条第一項の規定による保全処分をした場合又は第九十一条第二項に規定する保全管理命令をした場合に限る。
(債務者の財産に関する保全処分)
第二十八条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等 破産法第三十一条
裁判所は、破産手続き開始決定と同時に以下の事項を決定しなければなりません。
①破産管財人の選任
②破産債権の届け出期間
③債権者集会の期日
④破産債権調査期間
(破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等)
第三十一条 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 破産債権の届出をすべき期間
二 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第四項、第百三十六条第二項及び第三項並びに第百五十八条において「財産状況報告集会」という。)の期日
三 破産債権の調査をするための期間(第百十六条第二項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
破産手続開始の公告等 破産法第三十二条
裁判所は、破産手続き開始の決定(従前は破産宣告と称していました)したときは以下の事項を公告し債務者や債権者関係人に広く知らしめなければなりません。
①破産手続き開始決定の主文
②破産管財人の氏名、名称
③債権届け出期間の期日
などです。
破産手続き開始及び免責許可申し立てに関する意見申述期間次の破産事件について、以下のとおり破産手続きを開始した。破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない。平成0年(フ)第000号 住所 東京都大田区蒲田0-0-0 債務者 マンション 太郎1、決定年月日時 平成0年0月0日午後0時2、主文 債務者について破産手続きを開始する3、破産管財人 弁護士 大田 一郎4、破産債権の届け出期間 平成0年0月0日5、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見・聴聞・計算報告・免責審尋の期日 平成0年0月0日午後0時6、免責意見申述期間 平成0年0月0日まで東京地方裁判所民事第0部 |
(破産手続開始の公告等)
第三十二条 裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 破産手続開始の決定の主文
二 破産管財人の氏名又は名称
三 前条第一項の規定により定めた期間又は期日
四 破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者(第三項第二号において「財産所持者等」という。)は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
五 第二百四条第一項第二号の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し前条第一項第三号の期間の満了時又は同号の期日の終了時までに異議を述べるべき旨
2 前条第五項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第四項本文及び第五項本文において準用する次項第一号、次条第三項本文並びに第百三十九条第三項本文の規定による破産債権者に対する通知をせず、かつ、届出をした破産債権者を債権者集会の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。
3 次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
一 破産管財人、破産者及び知れている破産債権者
二 知れている財産所持者等
三 第九十一条第二項に規定する保全管理命令があった場合における保全管理人
四 労働組合等(破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第七十八条第四項及び第百三十六条第三項において同じ。)
4 第一項第三号及び前項第一号の規定は、前条第三項の規定により同条第一項第一号の期間及び同項第三号の期間又は期日を定めた場合について準用する。ただし、同条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
5 第一項第二号並びに第三項第一号及び第二号の規定は第一項第二号に掲げる事項に変更を生じた場合について、第一項第三号及び第三項第一号の規定は第一項第三号に掲げる事項に変更を生じた場合(前条第一項第一号の期間又は同項第二号の期日に変更を生じた場合に限る。)について準用する。ただし、同条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、当該通知をすることを要しない。
破産財団の範囲 破産法第三十四条
破産手続き開始決定されると、破産管財人の管理下で財産が管理されますが、この財産を破産財団と称します。
破産手続き開始前に債権の発生原因があり、破産手続き開始後に現実化するもの、例えば退職金債権ですが、この将来の請求権も破産財団に含まれます。
破産手続き開始時に破産者が有する財産でも、差し押さえが禁止されている財産(自由財産と言われています)があります。これらの差し押さえ禁止財産は(民事執行法131条、民事執行法152条)に定められています。
(破産財団の範囲)
第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。
2 破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一 民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項 (同法第百九十二条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
4 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
5 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。
6 第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
7 第四項の決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
破産者の居住に係る制限 破産法第三十七条
破産者は裁判所の許可なくその居住地を離れることは出来ません。
(破産者の居住に係る制限)
第三十七条 破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。
2 前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
破産者の引致 破産法第三十八条
裁判所は必要と認められるときには、破産者の引致を命ずることが出来ます。引致は、引致状を発して、刑事訴訟法の勾引に準じて執行されます。破産者に説明義務を課すために行われます。
(破産者の引致)
第三十八条 裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができる。
2 破産手続開始の申立てがあったときは、裁判所は、破産手続開始の決定をする前でも、債務者の引致を命ずることができる。
3 前二項の規定による引致は、引致状を発してしなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による引致を命ずる決定に対しては、破産者又は債務者は、即時抗告をすることができる。
5 刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)中勾引に関する規定は、第一項及び第二項の規定による引致について準用する。
破産者等の説明義務 破産法第四十条
破産者は、破産管財人若しくは債権者委員会(破産法第144条第2項)の請求、債権者集会の決議に基づく請求により、必要な説明をしなければなりません。
(破産者等の説明義務)
第四十条 次に掲げる者は、破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし、第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る。
一 破産者
二 破産者の代理人
三 破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役及び清算人
四 前号に掲げる者に準ずる者
五 破産者の従業者(第二号に掲げる者を除く。)
2 前項の規定は、同項各号(第一号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。
破産者の重要財産開示義務 破産法第四十一条
この破産者に対する重要財産開示義務は新たに設けられた条文です。破産者に自らこの義務を課すことにより、破産手続きを有効に行えるよう定められました。この義務に反した場合には刑罰の対象となります。(破産法第269条)
(破産者の重要財産開示義務)
第四十一条 破産者は、破産手続開始の決定後遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
別除権 破産法第六十五条 留置権の取扱い 第六十六条
別除権は、破産財団に属する財産に、抵当権等が債権者の債務の担保として設定されている場合には、その抵当権の実行は、破産手続きとは関係なく行えます。
個の抵当権は、債務者が任意に設定されたもので、破産開始決定による影響を受けません。
別除権が認められる担保物権
①抵当権
②質権
③特別の先取り特権
④譲渡担保
⑤仮登記担保
⑥商事留置権
(別除権)
第六十五条 別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
2 担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
(留置権の取扱い)
第六十六条 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法 又は会社法 の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。
2 前項の特別の先取特権は、民法 その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。
3 第一項に規定するものを除き、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する留置権は、破産財団に対してはその効力を失う。
破産管財人の権限 破産法第七十八条
破産管財人は、破産開始決定がなされると同時に就任、破産財団を管理します。破産債権者の優先的に利益確保するために、破産財団の財産の売却し現金化(換価)します。この換価方法については、破産管財人の裁量において行われます。
ただし、マンション、土地建物、不動産に関しては裁判所の許可が必要となります。
これら換価は高額で迅速に行うために「任意売却」が原則採用されます。
(破産管財人の権限)
第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
2 破産管財人が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
一 不動産に関する物権、登記すべき日本船舶又は外国船舶の任意売却
二 鉱業権、漁業権、公共施設等運営権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権、著作権又は著作隣接権の任意売却
三 営業又は事業の譲渡四 商品の一括売却
五 借財
六 第二百三十八条第二項の規定による相続の放棄の承認、第二百四十三条において準用する同項の規定による包括遺贈の放棄の承認又は第二百四十四条第一項の規定による特定遺贈の放棄
七 動産の任意売却
八 債権又は有価証券の譲渡
九 第五十三条第一項の規定による履行の請求
十 訴えの提起
十一 和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)
十二 権利の放棄
十三 財団債権、取戻権又は別除権の承認
十四 別除権の目的である財産の受戻し
十五 その他裁判所の指定する行為
3 前項の規定にかかわらず、同項第七号から第十四号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
一 最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
二 前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
4 裁判所は、第二項第三号の規定により営業又は事業の譲渡につき同項の許可をする場合には、労働組合等の意見を聴かなければならない。
5 第二項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
6 破産管財人は、第二項各号に掲げる行為をしようとするときは、遅滞を生ずるおそれのある場合又は第三項各号に掲げる場合を除き、破産者の意見を聴かなければならない。
破産財団の管理 破産法第七十九条
破産管財人がその職務とするものは以下のとおりです。
①破産財団に属する財産の占有と管理(破産法第79条、破産法第153条)
②破産者宛て郵便物の管理(破産法第81条、破産法第82条)
③届け出債権に対する認否及び調査権(破産法第117条、破産法第121条)
④破産財団に関する訴訟追行権(破産法第80条)
⑤破産者の旧来の契約、書類整理(破産法第53条)
⑥否認権(破産法第173条)
(破産財団の管理)
第七十九条 破産管財人は、就職の後直ちに破産財団に属する財産の管理に着手しなければならない。
郵便物等の管理 破産法第八十一条
裁判所は、破産者宛ての郵便物を破産管財人へ転送されるよう郵便業者に転送手続きを依頼します。
(郵便物等の管理)
第八十一条 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項 に規定する信書便物(次条及び第百十八条第五項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
破産債権の届出 破産法第百十一条
破産裁判所に届けられた破産債権は、一覧表(破産債権者表)にまとめられ、破産管財人に渡され、関係者に閲覧できるようにされます。
(破産債権の届出)
第百十一条 破産手続に参加しようとする破産債権者は、第三十一条第一項第一号又は第三項の規定により定められた破産債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。
一 各破産債権の額及び原因
二 優先的破産債権であるときは、その旨
三 劣後的破産債権又は約定劣後破産債権であるときは、その旨
四 自己に対する配当額の合計額が最高裁判所規則で定める額に満たない場合においても配当金を受領する意思があるときは、その旨
五 前各号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項
2 別除権者は、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を届け出なければならない。
一 別除権の目的である財産
二 別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
3 前項の規定は、第百八条第二項に規定する特別の先取特権、質権若しくは抵当権又は破産債権を有する者(以下「準別除権者」という。)について準用する。
破産債権の調査の方法 破産法第百十六条
破産債権の調査は、迅速に行う必要があることから、関係者の意見を集め、債権の存在を破産管財人が認め、破産債権者及び破産者から異議がなければ破産債権が確定します。この手続きを債権調査といいます。
また、手続きの効率を高めるために、調査期間内に書面によって調査を進めていきます。
(破産債権の調査の方法)
第百十六条 裁判所による破産債権の調査は、次款の規定により、破産管財人が作成した認否書並びに破産債権者及び破産者の書面による異議に基づいてする。
2 前項の規定にかかわらず、裁判所は、必要があると認めるときは、第三款の規定により、破産債権の調査を、そのための期日における破産管財人の認否並びに破産債権者及び破産者の異議に基づいてすることができる。
3 裁判所は、第百二十一条の規定による一般調査期日における破産債権の調査の後であっても、第百十九条の規定による特別調査期間における書面による破産債権の調査をすることができ、必要があると認めるときは、第百十八条の規定による一般調査期間における書面による破産債権の調査の後であっても、第百二十二条の規定による特別調査期日における破産債権の調査をすることができる。
債権者集会の招集 破産法第百三十五条
破産手続き開始決定後に、破産裁判所は債権者を招集し、会議(債権者集会)を開きます。
破産管財人、債権者委員会、要件を満たした債権者がそれぞれ、債権者集会を開く申立権があります。
債権者集会は
①破産管財人が破産手続きについて債権者に報告や説明を行う。
②破産手続きに破産債権者の意見を反映できるよう破産債権者の議決をおこなう。
の目的で開催されますが、
破産法の改正では、破産手続きの機動性を高める等の理由から、旧法で必要と定められていたことに対し、債権者集会は任意となりました。
(債権者集会の招集)
第百三十五条 裁判所は、次の各号に掲げる者のいずれかの申立てがあった場合には、債権者集会を招集しなければならない。ただし、知れている破産債権者の数その他の事情を考慮して債権者集会を招集することを相当でないと認めるときは、この限りでない。
一 破産管財人
二 第百四十四条第二項に規定する債権者委員会
三 知れている破産債権者の総債権について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる破産債権を有する破産債権者
2 裁判所は、前項本文の申立てがない場合であっても、相当と認めるときは、債権者集会を招集することができる。
債権者集会の決議 破産法第百三十八条 債権者集会の期日を開く場合における議決権の額の定め方等 第百四十条
債権者集会の決議は、議決権の権利がある出席者の議決権の過半数で決議します。また、法改正により期日が開かれずに書面で決議する(書面決議)こともできます。(破産法第139条)
破産債権者の有する議決権はその有する確定債権額に応じた金額の割合になります。大口債権者ほど多くの議決権を有することになります。
(債権者集会の決議)
第百三十八条 債権者集会の決議を要する事項を可決するには、議決権を行使することができる破産債権者(以下この款において「議決権者」という。)で債権者集会の期日に出席し又は次条第二項第二号に規定する書面等投票をしたものの議決権の総額の二分の一を超える議決権を有する者の同意がなければならない。
(債権者集会の期日を開く場合における議決権の額の定め方等)
第百四十条 裁判所が議決権行使の方法として前条第二項第一号又は第三号に掲げる方法を定めた場合においては、議決権者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額に応じて、議決権を行使することができる。
一 前節第四款の規定によりその額が確定した破産債権を有する届出をした破産債権者(別除権者、準別除権者又は停止条件付債権若しくは将来の請求権である破産債権を有する者(次項及び次条第一項第一号において「別除権者等」という。)を除く。) 確定した破産債権の額
二 次項本文の異議のない議決権を有する届出をした破産債権者 届出の額(別除権者又は準別除権者にあっては、第百十一条第二項第二号(同条第三項又は第百十四条において準用する場合を含む。)に掲げる額)
三 次項本文の異議のある議決権を有する届出をした破産債権者 裁判所が定める額。ただし、裁判所が議決権を行使させない旨を定めたときは、議決権を行使することができない。
2 届出をした破産債権者の前項の規定による議決権については、破産管財人又は届出をした破産債権者は、債権者集会の期日において、異議を述べることができる。ただし、前節第四款の規定により破産債権の額が確定した届出をした破産債権者(別除権者等を除く。)の議決権については、この限りでない。
3 裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも第一項第三号の規定による定めを変更することができる。
財団債権となる請求権 破産法第百四十八条 使用人の給料等 第百四十九条
破産債権は、破産財団から配当を受けます。財団債権が配当を受けるには一定の手続(債権届け出、債権調査、債権確定のための手続き)きを踏みます。
一方、財団債権は、破産債権の手続きを経ることなく、破産財団から直接弁済を受けることが出来ます。配当ではなく弁済です。
財団債権としては、
①破産債権者の全体の利益のための裁判費用
②破産財団の管理・換価・配当に関する費用
③第三者への契約履行や損害の賠償
・破産管財人の行為によって生じた第三者の請求権
・事務管理や不当利得によって生じた第三者の請求権
④租税債権
⑤使用人の給料等
(財団債権となる請求権)
第百四十八条 次に掲げる請求権は、財団債権とする。
一 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二 破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権
三 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権及び第九十七条第五号に掲げる請求権を除く。)であって、破産手続開始当時、まだ納期限の到来していないもの又は納期限から一年(その期間中に包括的禁止命令が発せられたことにより国税滞納処分をすることができない期間がある場合には、当該期間を除く。)を経過していないもの
四 破産財団に関し破産管財人がした行為によって生じた請求権
五 事務管理又は不当利得により破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
六 委任の終了又は代理権の消滅の後、急迫の事情があるためにした行為によって破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権
七 第五十三条第一項の規定により破産管財人が債務の履行をする場合において相手方が有する請求権
八 破産手続の開始によって双務契約の解約の申入れ(第五十三条第一項又は第二項の規定による賃貸借契約の解除を含む。)があった場合において破産手続開始後その契約の終了に至るまでの間に生じた請求権
2 破産管財人が負担付遺贈の履行を受けたときは、その負担した義務の相手方が有する当該負担の利益を受けるべき請求権は、遺贈の目的の価額を超えない限度において、財団債権とする。
3 第百三条第二項及び第三項の規定は、第一項第七号及び前項に規定する財団債権について準用する。この場合において、当該財団債権が無利息債権又は定期金債権であるときは、当該債権の額は、当該債権が破産債権であるとした場合に第九十九条第一項第二号から第四号までに掲げる劣後的破産債権となるべき部分に相当する金額を控除した額とする。
4 保全管理人が債務者の財産に関し権限に基づいてした行為によって生じた請求権は、財団債権とする。
(使用人の給料等)
第百四十九条 破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権は、財団債権とする。
2 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は、退職前三月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前三月間の給料の総額より少ない場合にあっては、破産手続開始前三月間の給料の総額)に相当する額を財団債権とする。
破産債権者を害する行為の否認 破産法第百六十条
否認権とは、破産手続き開始前であっても詐害的な弁済行為等が行われた場合、破産管財人の求めにより、裁判上その行為を無効にし財産を破産財団に戻すことをいいます。
この否認権は、民法第424条に定める詐害行為取り消し権と類似しています。
民法に定める詐害行為取り消し権は
①詐害的な取引によって債権者の財産が減少して債務の弁済に支障をきたす無資力要件
②取引の相手が債権者を害することを知って取り引きを行ったという詐害の意思(悪意)が要件
ですが、
否認権の場合は、相手方の詐害意思の有無にかかわりなく行使できます。
つまり、上記でいえば①の要件となります。
(破産債権者を害する行為の否認)
第百六十条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。
3 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
配当表 破産法第百九十六条
破産管財人は、破産財団が現金化すれば、破産債権者に分配されますがこれを「配当」といいます。
配当は、破産管財人が配当表を作成し、それに応じて行われます。
破産管財人が作成した配当表は、破産裁判所に提出され、公告し、債権者に通知しなければなりません。(破産法第197条)
(配当表)
第百九十六条 破産管財人は、前条第二項の規定による許可があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した配当表を作成し、これを裁判所に提出しなければならない。
一 最後配当の手続に参加することができる破産債権者の氏名又は名称及び住所
二 最後配当の手続に参加することができる債権の額
三 最後配当をすることができる金額
2 前項第二号に掲げる事項は、優先的破産債権、劣後的破産債権及び約定劣後破産債権をそれぞれ他の破産債権と区分し、優先的破産債権については第九十八条第二項に規定する優先順位に従い、これを記載しなければならない。
3 破産管財人は、別除権に係る根抵当権によって担保される破産債権については、当該破産債権を有する破産債権者が、破産管財人に対し、当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権の額を証明しない場合においても、これを配当表に記載しなければならない。この場合においては、前条第二項の規定による許可があった日における当該破産債権のうち極度額を超える部分の額を最後配当の手続に参加することができる債権の額とする。
4 前項の規定は、第百八条第二項に規定する抵当権(根抵当権であるものに限る。)を有する者について準用する。
破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定 破産法第二百十六条
同時廃止とは、破産者に配当できるめぼしい財産がない場合には破産管財人を選任して行うこの手続きは全くむだになります。その場合には裁判所は破産手続きと同時に破産手続きの終結する旨の宣言をします。
破産手続き開始及び破産手続き廃止平成0年(フ)第000号 東京都大田区蒲田0-0-0 債務者 マンション 太郎1、決定年月日時 平成0年0月0日午後0時2、主文 債務者について破産手続きを開始する。 本件破産手続きを廃止する。3、理由の要旨 破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する。東京地方裁判所破産係 |
(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定)
第二百十六条 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。
2 前項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。
3 裁判所は、第一項の規定により破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。
一 破産手続開始の決定の主文
二 破産手続廃止の決定の主文及び理由の要旨
4 第一項の規定による破産手続廃止の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第三十一条及び第三十二条の規定は、第一項の規定による破産手続廃止の決定を取り消す決定が確定した場合について準用する。
破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定 破産法第二百十七条
破産手続きで、配当を行うだけの目ぼしい財産が有るかどうかは、実際に手続きを進めてみないと解らないこともあります。手続き途中に、配当可能な財産がないことが判明すれば、破産手続きは打ち切られます。この破産手続き途中で終結するので異時破産手続き廃止とされています。
(破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定)
第二百十七条 裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、債権者集会の期日において破産債権者の意見を聴かなければならない。
2 前項後段の規定にかかわらず、裁判所は、相当と認めるときは、同項後段に規定する債権者集会の期日における破産債権者の意見の聴取に代えて、書面によって破産債権者の意見を聴くことができる。この場合においては、当該意見の聴取を目的とする第百三十五条第一項第二号又は第三号に掲げる者による同項の規定による債権者集会の招集の申立ては、することができない。
3 前二項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。
4 裁判所は、第一項の規定による破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。
5 裁判所は、第一項の申立てを棄却する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
6 第一項の規定による破産手続廃止の決定及び同項の申立てを棄却する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
7 第一項の規定による破産手続廃止の決定を取り消す決定が確定したときは、当該破産手続廃止の決定をした裁判所は、直ちに、その旨を公告しなければならない。
8 第一項の規定による破産手続廃止の決定は、確定しなければその効力を生じない。
免責許可の決定の要件等 破産法第二百五十二条
破産の目的は免責により借金をゼロにして、債務者の再起を助けることでもあります。現在においては免責許可が原則となっています。破産裁判所は、免責申し立てがあった場合、不許可事由がない場合は免責許可を決定しなければならないとされています。
免責の不許可事由
①債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為
②破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分
③偏頗行為
④浪費、射幸行為
⑤詐術の取引
⑦帳簿隠滅
⑧裁判所の協力義務違反
⑨管理業務の妨害
⑩7年以内の免責取得
⑪破産手続き義務違反
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日ロ 民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日ハ 民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
3 裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
4 裁判所は、免責不許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
5 免責許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
7 免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
免責許可の決定の効力等 破産法第二百五十三条
自己破産して、免責となれば全てにおいて免責になるとは限りません。例えば税金、他人への損害賠償等
以下の条文の記載されています。
(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項 の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
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