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そもそも任意売却とは何でしょうか。
1、任意売却の歴史的背景
この「任意売却」は最近でこそ一般的になってきましたが、10年前までは不動産業界にいてもほとんど目にすることはありませんでした。それは、マンション・不動産等の右肩上がりの時代が長く続き、マンション・不動産を買っておっけば値上がりし、売却すれば買った金額より高く売れる神話があまりにも長く続き、過去において買ったマンション、不動産が担保割れすることなどは無かったからと推察されます。
それが、デフレが長期化しマンション、不動産が買った値段では売れなくなってしまいました。それどころか地域によっては大きく担保割れ(売却金額が抵当権等の担保を下回る)し、購入金額の3~5割の金額でしか売却出来ない状況が生じ、いまだに続いています。(この記事の作成は2012年頃です。)
2、任意売却の政策
マンション、不動産のデフレが長期化し、不良債権の処理に苦しんでいた大手金融機関を支援する(一般消費者のためではありません)ため、サービサー法が創られました。このサービサー法が社会に浸透し、一般的に認知され、その不良債権処理の一環としての「任意売却」が定着してきました。又、廃案にはなりましたが、不良債権処理の一環として「不動産任意売却促進法案」が自民党より上程されたこともあります。この任意売却が、マンション・不動産のデフレ問題、流通において重要視されていたことがお判り頂けると思います。
3、任意売却の一般的な定義
一般的には、任意売却は、”不動産の法的な強制力で抵当権の実行による「強制的」な売却”に対して、”「任意」による私的な不動産の売却手続き”というように、「強制」に対し「任意」の対義語として使い分けしており、一般的に行われている不動産取引と同様に「任意」での私的な取引の括りに入れられた使われ方をしています。
つまり任意売却とは一般的には、ローン支払者が滞納して、期限の利益を逸した後、抵当権者の同意を得て、競売などの法的執行によらず、債権者の合意を得て、その不動産を売却することであり、さらに簡単に言えば、任意売却とは借金が多く売却してもその代金で完済できない場合の契約行為とされています。
4、任意売却は民法その他の法律の条文ではどのように定義されているのでしょうか?
破産法第78条では、不動産などを裁判の手続きを経ずに、裁判所の許可を得て、破産管財人が不動産等を任意売却できるとし、債権者に配当することが出来ると定められています。任意売却はマンション等不動産を迅速に、より高額で換価できるものであり、債権者により多くの配当を回せることなど合理性が認められています(破産法第78条)。
私的か法的か分けますと
(ア)法的手続き | 競売・抵当権行使 |
(イ)私的手続き | 任意売却・通常の売却 |
となります。
さらに、民事執行法に定める法的手続き(競売)を、①抵当権実行によるもの、②債務名義に基く執行手続きによるものに分けますと
①抵当権の実行 | 任意競売 |
②債務名義による競売 | 強制競売 |
と分類されます。
つまり、民事執行法においては「任意」は抵当権実行によるもの、そして、「強制」は債務名義によるものとの使い分けがなされています。民事執行法によれば抵当権実行手続きも「任意」とされますので、任意売却は「競売によらない売却」として、また、一般の売却と区分されています。
そして、破産法においては「裁判手続き」によらない換価処分が任意売却とされています。つまり、破産法、民事執行法の任意売却とは、抵当権実行による売却(競売による換価処分)を含むことになります。
5、任意売却は経済合理性があること
住宅ローンを延滞することになったとしても、自分の不動産は自分の意思で売却する権利があります。任意売却は、無駄に時間を費やすことなく、そして無駄な手間(競売手続)、無駄な費用(競売費用)をかけず、債権者、債務者双方のメリットがありますので、経済的合理性がある手法と言えます。
6、任意売却は社会的風土に適していること
日本の場合、訴訟立国アメリカなどと違い、民事のもめごとの解決として、裁判外、裁判中の和解、法務委員、裁判官による調停などで、最終的には当事者の話し合いで、ほとんど解決(約8割)されています。(調停前置主義)
任意売却も、法的手続きによらず、当事者の話し合いで解決するわけですから、和を重んずる日本的な手法といえます。
以上をまとめますと
任意売却とは・・・「経済合理性」そして「利害関係人の合意」のもとでの売買契約です。
任意売却とは・・・「借り入れが、その物件の売買代金が上回り完済できない」場合です。 任意売却とは・・・「一般的な不動産の取引と同じ私的取引」で特別なものではありません。 任意売却とは・・・「日本の社会風土」に適した手法・手続きです。 |
任意売却を成功させるには
当サイトは、任意売却の専門サイトで解りにくい部分もあると思いますが、その部分はは読み飛ばしてください。できる限り具体的な資料、文献もなかに取り込みたいと思います。そして各法律(特に民法、区分所有法、破産法、民事訴訟法、民事執行法等)の条文を説明文の中に組み入れ、根本となる条文を示すよう構成しました。
「任意売却」を成功させるには、ネット上の情報を上手に、効率よく利用するのが有効ですが、そこで本サイトの目的を簡単に説明させていただきます。
1、任意売却に関するホームページを分類します。
これらのウェブサイトをどう利用、どう活用すれば、ということについてふれてみたいと思います。
これらたくさんの「任意売却」のウェブサイトをご覧いただいてお分かりかと思いますが、同じようなパターンで出来ています。
まず大きく2つに分類しますと
Aのパターン(集客を狙う) ア)見るからにホームページのプロが作成し、多額の費用を掛けて作成されたもの。 イ)全国をむらなく網羅し、広く、顧客を募集 ウ)マスコミ等で報道されその信用度をアピール エ)弁護士等の専門家と提携し信頼性をアピール オ)顧客からの感謝の言葉を掲載し安心感を醸す カ)記事の内容はどのホームページも大体同じ内容 |
Bのパターン(個人ブログ的) ア)見るからに個人的に作成され、手作り的なブログ イ)商業主義というより、自己主張し、自己満足 ウ)問い合わせるにしても、躊躇させる |
当然、お判りのようにAのホームページの作成は「ホームページ作成会社」が行っています。そのホームページ作成会社は任意売却のプロではありませんので、他社のホームページを見よう見まねで作成されています。そのホームページの命ともいえる「記事」はどこを見ても大体同じような内容になっていることが解ると思います。
またBについては、個人的に作成されたもので、内容的に偏る傾向があります。あまり独善的な見解、例えば、「任意売却は違法行為である」と断定したもの、「任意売却を行えば借金がすべて解決できる」かのように錯覚させるようなものまで、いろいろあります。それらの任意売却関連ホームページを判別するには、相当な時間と労力を要します。
「任意売却相談室」の役割
①当ホームページの記事は全てオリジナルで、外注のものはありません。
②ホームページ「任意売却相談室」は民法、区分所有法、破産法、民事訴訟法、民事執行法等の法律に基づいて記述しています。
③「任意売却相談室」は集客することではなく、かといって、自己満足させる目的でもなく、任意売却が根本的に理解でき、確信をもって債務整理にあたってもらうことを目的としています。
④任意売却の専門としての情報をお届けしてまいりたいと思います。
任意売却相談室は、債務整理(競売、自己破産、個人再生、特定調停等)をどうすべきか、どの方法を選択すべきか、また「任意売却」は自分に利益をもたらすのか?これらの疑問点が明確にさせ、先の見えない悲感から、確たる「信念」の持てる境地になれるよう、お役に立てるサイトを目的としています。 |
不動産の売買は「任意売却」に限らず法律行為になります。法律行為は、当事者の責任と義務が課せられます。その法律行為において、責任を果たさなければ、債務不履行となり、ひいては、損害賠償責任の対象になります。取引のリ-ド役の不動産仲介業者選定にあたっては十分注意しなければならないことは言うまでもありません。 |
任意売却の場合、メリットのみが記されているウェブサイトが多いのですが、注意しなければならない点もありますので、その点もできるだけ簡潔、明瞭に記載していきます。
任意売却の準備
不動産を任意売却する腹がきまりましたら、まず
1、出口を定めます(売却後の残債を処理する)。
出口1・・・任意売却後、自己破産して免責を受けて、合法的に借金を消去する。
出口2・・・任意売却後、サービサーへ売却された債権(残債)を安く買い取り、合法的に借金を清算する。
出口3・・・任意売却後、残債を債権者に可能な範囲で分割払いする。そして3年~5年の返済実績を作り残債については「免除」してもらうよう交渉する。
出口を定めたら、後はまっしぐら合法的に借金の清算に全力投球です。
不安から、確たる「安心」に向かうには、合法的かつ前向きに確たる「信念で」行なわなければなりません。決して難しいものではありません。
2、任意売却は販売期間が限られています
任意売却の制約の一つに時間的制約(販売期間が限られて)があります。ローンの延滞から競売申し立て、競売決定通知から約6カ月で入札(最近、裁判所により早まる傾向にあります)されます。一般的な債権者はこの入札前に競売の取り下げ可能期日を設定します。その競売を取り下げさせるためには、その1か月前ぐらいに契約し、具体的に売買代金の返済期日を確定しなければなりません。そうすると、実質5ヶ月間のみの販売可能期間となります。競売へ
任意売却を成功に導くためには、早めに相談されることをお勧めいたします。
通常の不動産売却は、売主の一存で即決できますが、任意売却の不動産案件には第1抵当権者、第2抵当権者、第3抵当権者、の抵当権設定され、また管理組合の管理費の延滞、市町村収納課、などの差し押さえが付いているケースもあります。
債権者の担当者では結論が出せませんので、社内の稟議をあげてその結果を待たなければならないなど、債権者との交渉は手間も時間もかかります。
こちらから提案した金額より、債権者から出された金額が市場価格を上回っていて、まったく売れないケースも当然あります。
そのような場合また時間をかけて交渉。販売活動。売れない。また交渉。販売活動。このようなプロセスをふむこともありますので時間はかかります。
3、念のため預貯金の移動
任意売却直前の預貯金の移動、不動産、ゴルフ会員権、株券などの有価証券の名義変更・売買などが発覚した場合は、債権者より「詐害行為」とされることがあります。出来るだけ、長期的な計画を立て、手続きを進めることが肝要です。最低でも1年以上の期間をかける必要があります。
ローンの支払いをストップする前に次のことを行うことを忘れないでください。
借り入れしている銀行から、借り入れしていない銀行へ予金を移動します。
家賃などが振り込まれている場合は、別の銀行に変更してもらいます。
管理費、光熱費、NHKなどが引き落としされないよう残高0にします。必要に応じて現金で支払います。
税金などの滞納がある場合、積立生命保険は解約して返戻金をプールします。(強制解約予防のため)
尚、税金は自己破産したにしても免責にはなりませんし、任意売却するうえでも延滞がないに越したことはありませんので、支払いを済ませておくべきです。また、クレジットカード等の小口での買い物に利用することがありますが、少しでも支払いが遅れると督促、催促が非常にうるさく来ますので、小さな金額であれば支払ったほうが無難です。
4、現状の把握
借入先、金額、管理費、住民税、年金、固定資産税等の借入、延滞状況を一覧表にして作成しましょう。実際の借入金額など把握していない場合がありますので記入漏れがないように致します。特に税金は、売却途中で仮差し押さえがついたりして売却に支障をきたしますので、分割で支払うなど役所と話し合っておくことが必要です。税金に関しては要注意です。
下記書式を利用して全体の状況をまとめるのに利用してみてください。
収支計算書
債権者一覧表 滞納公租公課一覧表 情報収集 |
常日頃の生活に追われ、精神的にもゆとりがない状況でなかなか難しいことと想像できますが、今後、金融機関、サービサー、裁判所からの非日常的な書類、不動産業者等渡り合うためには“武器”つまり知識が必要となります。以前と比べてネット上での収集も出来る時代です。また弁護士による無料相談会など利用できる機会があれば相談するのもよいでしょう。
スムーズに任意売却するためには
任意売却することが決まりましたら、以下のことを頑張って行いましょう。
任意売却、競売物件に共通して言えますが、傾向として、とても商品とは思えない物件が多いのが現状です。部屋中物が散らかり足の踏み場もなく、カーテンが閉め切って、照明が消えて・・・・。このような状況では売れるものも売れません。“任意売却物件である“と案内前に説明がされていたとしても、買主様にとっては一生に1度か2度の大きな買い物になります。ましてや、瑕疵担保が免責ですし、リスクを考えれば一気に購入意欲がなくなります。
日ごろの心配がたたり、表情がどうしても曇りがちに売主様はなっています。
つとめて、案内の時だけは笑顔でいていただきたいと思います。問い合わせの段階で、案内のお客様を選別し、冷やかしの方は前もってお断りして、契約の可能性のある見込みあるお客様を選んで案内の件数を絞り、できるだけ案内の負担をかけないようにしますので、そのときだけは“面倒だ”と思わずお付き合いください。住んでいる人が好印象ですと、物件もよく見えるものです。
また、物件の事に関しては住んでいる方が詳しいので、さし障りの無い程度に物件のアピールポイントなど簡潔にお話出来るようにして頂きたいとおもいます。マンション売却は交渉事ですので、できるだけ好条件で商品を売る、という認識を持っていただいて、任意売却するには以下の事に注意ください。
不用品は捨てて、部屋をすっきりさせる。
匂いのもと(生活臭)は断つ。 水周り、窓、のカビ、汚れをとる。 電球など切れていないか。 塗装、クロスのはがれ、など自分で補修する。 |
とにかく第一印象が決めてしまいますので、お金のかからないことは自分で何でも行いましょう。
価格の査定
自分の物件の評価を査定しましょう。正確な不動産売却価格を把握することは、将来の残債の返済に大きく影響しますので、何件かの業者(最低でも3社)から売却価格の査定を遠慮なくお願いしてみましょう。参考に下記に査定会社を張り付けておきます。
メールによる相談は有料です。
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