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剰余を生ずる見込みのない場合等の措置 民事執行法第六十三条

剰余主義の原則

マンション、土地建物、不動産の売却基準価額から、執行手続きの費用、差し押さえ債権者より優先する債権(抵当権、先取り特権)の合計額を差し引いて剰余(余剰)の見込みがない場合には、マンション、土地建物、不動産の強制競売が認められません。

但し以下条文の定めにより、その不足する分の金額を保証金として提供する等で強制競売の手続きが続行できる途もあります。

尚、マンションの管理費の延滞によるマンションの強制競売において、剰余の見込みのない場合でも、保証金を立てることなく強制競売が認められたケースもあります。それは、区分所有法第59条の規定による競売は、マンション区分所有者の区分所有権を売却することによってマンション区分所有者の区分所有権を剥奪することを目的とするものであって、配当を全く予定していないものであり、競売の申立人に配当される余剰を問題とする余地は無いとして、無剰余取り消しを適用しないとした判例があります。(東京高裁判所平成16年5月20日)

条文

(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)
第六十三条  執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。

一  差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。

二  優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。

2  差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、優先債権がない場合にあつては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあつては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者が、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であつて不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者(買受可能価額で自己の優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。)の同意を得たことを証明したときは、この限りでない。

一  差押債権者が不動産の買受人になることができる場合申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供

二  差押債権者が不動産の買受人になることができない場合買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と買受可能価額との差額に相当する保証の提供

3  前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、買受可能価額以上の額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。

4  第二項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。