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居住用財産の任意売却による損失(平成25年4月1日現在)
一定の要件を満たす場合、居住用財産の売却(任意売却)損つまり譲渡損失を、その年の他の所得と損益通算できます。そして、その損失が超過していれば、譲渡の年の翌年以降3年繰り越すことができ、各年の所得から控除できます。要件としては以下のようになります。
損益通算と繰越控除の要件
①平成25年12月31日までの間に譲渡している。
②任意売却した年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産である。
③譲渡契約締結日の前日に譲渡価格を上回る一定の住宅借入金がある。
④繰越控除をする年については、合計合計所得金額が3000万円以下である。
⑤譲渡(任意売却)した年の前年または前々年に居住用財産の譲渡にかかる特例(3000万円特別控除、軽減税率、買い替えまたは交換)の適用を受けていない。
⑥その年の前年以前3年以内に生じた他の居住用財産の譲渡(任意売却)損失について措置法41条の5または措置法41条5の2の特例の適用を受けていない。
⑦譲渡(任意売却)した年に措置法41条の5の特例の適用を受けていない。
以上となっています。(租税特別措置法)
尚、買い替えによる損失の特例は省略します。
また、年度により変わりますので最新情報は国税局ホームページで確認してください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm
任意売却における損益通算・繰越控除具体例
マイホーム(マンション)の売買契約日の前日における住宅ローン残高から任意売却価額を差し引いた残りの金額が、損益通算の限度額となります。
マンション取得価格6000万円
住宅ローン3000万円
マンション任意売却金額2000万円
2000万円(任意売却金額)-6000万円(購入金額)=△4000万円(譲渡損失)
3000万円(借入金残高)-2000万円(任意売却金額)=1000万円(損益通算限度額)
4000万円>1000万円
∴損益通算できる金額は1000万円
(国税庁ホームページより)
任意売却による譲渡所得の特例
不動産の売却により譲渡益が発生した場合、譲渡益にたいして、
所得税(国税)15%
住民税(地方税)5%
の税金がかかります。
しかし、以下の場合は非課税になる特例があります。
①強制換価手続き(競売)により資産が売却された場合 (所得税法9条10項)
②資産を国、地方公共団体に寄付した場合
③資産を相続税の物納にあてた場合
となり、任意売却は①に該当(資力を失って、債権を弁済することが著しく困難な状態)します。
競売または、強制換価手続きの執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡で、譲渡代金の全部が債務の弁済に充てられる場合に適用されます。
連帯保証人の保証債務返済による売却の譲渡税は?
連帯保証したがために連帯保証人が自分の不動産を売却(任意売却含む)する羽目になってしまった場合、譲渡税はかかるのでしょうか。
保証債務を返済するために資産を売却(任意売却)し、その代金の全部または一部が保証債務の返済に充てられ、その債務を債務者に返済を求め(求償権)ても、回収ができない部分の金額については、譲渡所得がないものとされます。
保証債務の履行に当てはまる主なもの
(1) 保証人、連帯保証人として債務を弁済した場合
(2) 連帯債務者として他の連帯債務者の債務を弁済した場合
(3) 身元保証人として債務を弁済した場合
(4) 他人の債務を担保するために、抵当権などを設定した人がその債務を弁済したり、抵当権などを実行された場合
特例を受けるには、次の三つの要件すべてに当てはまることが必要です。
(1) 本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと。
(2) 保証債務を履行するために土地建物・マンションを売って(任意売却)いること
(3) 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと(所得税法64条2項)
連帯保証人の保証債務の特例の具体例
債務者甲に係る保証債務3,000万円を履行するためA資産を、債務者乙に係る保証債務2,000万円を履行するためB資産をそれぞれ譲渡し、それぞれその履行に充てました。
資産の種類 A資産(短期保有土地) B資産(長期保有土地) | ||||||
譲渡価額 | 4,000万円 | 9,000 万円 | ||||
取得費 | 2,000 〃 | 4,000 〃 | ||||
譲渡益 | 2,000 〃 | 5,000 〃 | ||||
求償不能額 | 3,000 〃 | 2,000 〃 | ||||
差引差額 | △ | 1,000 〃 | 3000 〃 | |||
(-) |
A及びBの資産が連帯保証などの保証債務のために売却されたものであれば、譲渡所得の金額として一括して計算す
ることになるため A資産の赤字1,000万円とB資産の黒字3,000万円との通算は認められます。
したがって、2,000万円が課税対象となります。
(国税庁資料を参考にしています。)
任意売却の譲渡費用
税務上の認められる経費(譲渡費用)と債権者が認める経費の扱いは違いがありますので注意しなければなりません。
不動産仲介手数料
解体費
土地家屋調査・実測
残置物撤去
印紙(売買契約)
不動産鑑定費用
立ち退き料
土壌汚染調査
抵当権と租税どちらが優先
任意売却する場合、税金の滞納額が多額になることがありますが、抵当権者への返済が優先するか、または滞納税金等の返済が先か。その優劣は法律で定まっています。
(国税徴収法8条及び16条)
抵当権の設定された日付が、租税の法定納付期限より
前の場合・・・・・抵当権が優先
後の場合・・・・・租税が優先
となります。
メールによる相談は有料です。
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