支払督促
支払督促とは、金銭などの一定の数量の給付について、債務者が請求権の存在を争わないことが予想される場合に、簡易迅速に債務名義を付与する制度で、債務者を審尋することは致しません。支払い督促は債務者の管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てます。督促手続き(民事訴訟法382、383条)
①督促異議
債務者は、支払い督促に対して、督促異議を申し立てすることができます。異議申し立てがあると通常訴訟に移行します。
・仮執行宣言前に督促異議の申し立てがあった時は、支払い督促の効力は失います。
②仮執行宣言の申し立て
債務者が支払い督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申し立てをしない時は、裁判所書記官は、債権者の申し立てにより仮執行の宣言をしなければなりません。また、債権者は、仮執行宣言の申し立てができる日から30日以内にその申し立てをしなければなりません。
特徴 ●手続きが簡単で弁護士に依頼しなくても自分でできる。
- 時間も、費用も他の手続きと比べてかからない。
- 支払い督促の申し立ては、ほとんどのケースが金銭の請求。
- 申し立ては金額の大小にかかわりなく簡易裁判所。
- 相手が住所不明の場合「公示送達」の利用ができないので、支払い督促の申し立ては出来ない。
- 相手方が支払い督促に異議申し立てをすると、訴訟に移行します。
- 相手方が、請求金額や請求原因等について争う姿勢がない、見当たらない場合に有効。
ア.支払い督促に要する費用
- 申し立て手数料
訴額 | 手数料 |
10万円 | 500円 |
50万円 | 2500円 |
100万円 | 5000円 |
500万円 | 15000円 |
1000万円 | 25000円 |
5000万円 | 85000円 |
- 送達費用 一人分1200円
- 切手、ハガキ
- 弁護士に依頼する場合は別途弁護士費用がかかります。
イ.申請書類
- 支払い督促申立書
民事調停・特定調停
民事調停とは裁判所で、債権者と債務者の紛争につき調停委員が入り当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ります。
民事調停の特徴は以下に示します。
- 簡易迅速に結論が得られます。
- 少ない経費で手軽。
- 事案に則した妥当な解決が期待できます。
- 時効が中断します。
- 調停調書は通常の判決と同じ債務名義になります。
① 訴え提起前の和解
訴え提起前に紛争当事者の一方が、簡易裁判所に和解の申し立てをして、裁判所は相手方に和解勧告を
し成立した和解の内容を「和解調書」として作成します。すでに裁判外で話し合いが成立しており、裁判所
に「お墨付き」である和解調書を作成してもらいます。
この和解調書は「即決和解」ともいわれ確定判決と同じような効力をもちます。
訴え提起前の和解と民事調停の違いは、当事者の自主的話し合いで進められる訴え提起前の和解に対して、民事調停は裁判所の調停委員の調停案の勧告などの助けを借りて話し合う点が違います。
民事調停の費用
- 申し立て手数料
訴額 | 手数料 |
10万円 | 500円 |
50万円 | 2500円 |
100万円 | 5000円 |
500万円 | 15000円 |
1000万円 | 25000円 |
5000万円 | 85000円 |
- 相手方が1名の場合 2500円の郵券
② 特定調停(特定債務等の調整の促進の為の特定調停に関する法律)
民事調停法の特別制度で、支払い不能に陥る恐れのある債務者等の救済制度です。債権者の権利行使に待ったをかけ、債務者を立ち直らせようというもので、現在支払いが厳しくなった人、法人に限らず、将来支払いができ無くなると予想される場合でも申し立てできます。破産を事前に食い止めることを目的に民事調停法の特別措置として平成11年に創設されました。平成15年には約57万件の申し立てがありましたが、その後減少傾向にあります。
特定調停の申し立てが債務者からあると、裁判所が相当であると認めれば債権者からの強制執行の停止が命じられます。
特定調停は、原則として債権者債務者1対1の個別手続きができることから、大口債権者のみ調停をまとめ、他の債権者に対しては随時全額の弁済をすることも可能です。
本来、債権者平等の原則ですから、一部権利者の権利を変更し、他の債権者には全額弁済することは認められませんが、当事者間の合意があれば特定調停にはそのような措置が認められます。
以上のような、債務者側にとって良い面がある一方、特定調停が成立するには債権者の同意が絶対的条件になりますので合意に至る件数が約3%と低く、現実、債権者との交渉がいかに難しいかがわかります。
合意すれば以降、普通の調停と同じ手続きになります。
特定調停のメリット
○費用が安く手続きが簡単です。
○強制執行を止めることができます。
○債権者の交渉は調停委員がおこないます。
特定調停のデメリット
- 債権者の同意がない場合強制力はありません。
- 元本カットの交渉は難しい。
訴訟
債権回収の最後の手段として、裁判所に訴えの提起をし、相手の応訴、準備書面、口頭弁論を経て、判決確定致します。
- 勝訴すれば、強制執行できる。
- 消滅時効の期間が10年に延びる。
- 訴訟費用のほか弁護士費用も要す。
- 判決が出るまで時間がかかる(半年~2年)
- 自分の時間、手間を要す。
費用
・訴訟手数料
訴額 | 手数料 |
10万円 | 1000円 |
50万円 | 5000円 |
100万円 | 10000円 |
500万円 | 30000円 |
1000万円 | 50000円 |
5000万円 | 170000円 |
・訴訟書類の送達費用
・証人尋問の費用(証人の宿泊費、交通費、日当代等)
・鑑定などが必要な場合の鑑定費用(筆跡鑑定)
不動産の強制執行
①強制執行の流れ
債務名義の取得
判決、判決に準ずるもので、判決が確定するか仮執行宣言が付いたもの。
⇓
執行文の付与を受ける
判決や公正証書などの債務名義は必ず強制執行できるものばかりではありません。執行文の付与という手続きを加えて、初めて強制執行できることになります
⇓
債務名義の送達
債務者に、どのような判決で強制執行をされるのか知らせる必要があります。債務者が行方不明の場合は、公示送達の手続きがとられます。
⇓
不動産強制競売申し立て
⇓
競売開始決定(差し押さえ)
⇓
競売の公告
⇓
売却・換金
⇓
配当
②競売申し立ての費用
予納金
請求債権額 | 予納金 |
2000万円未満 | 60万円 |
2000万円以上5000万円未満 | 100万円 |
5000万円以上1億円未満 | 150万円 |
1億円以上 | 200万円 |
収入印紙 請求債権1個につき4000円
登録免許税 債権額の1000分の4
予納郵券
③競売申し立て書類
不動産強制競売申立書
- 目録・・・当事者目録
担保権・被担保債権・請求債権目録
物件目録
登記権利者義務者目録
登記用の物件目録
- 添付書類・・・執行力のある債務名義の正本(執行文付の債務名義)
債務名義の送達証明書
不動産登記簿謄本
公課証明書
商業登記簿謄本(法人の場合)
住民票(個人の場合)
債権の強制執行
ここでの債権は債務者が所有する債権、たとえば銀行預金、給料などです。
- 差し押さえ命令は、債務者及び第3債務者を審尋しないで発せられます。
- 差し押さえ命令は、債務者及び第3債務者に送達しなければなりません。
- 差し押さえの効力は、差し押さえ命令が、第3債務者に送達されたときに生ずる。
- 差し押さえ命令の申し立てに対して執行抗告をすることができる。
①手続きの流れ
債務名義の取得
⇓
債権差し押さえ命令申し立て
⇓
債権差し押さえ命令送達
⇓
取り立て
⇓
配当・交付
②手続き費用
印紙 4000円
郵券 5300円(東京地裁)
③執行申立書に要する書類
債権差し押さえ命令申立書
目録・・・請求債権目録
差し押さえ債権目録
当事者目録
添付書類・・・執行力のある正本
債務名義の送達証明書
資格証明書
第三債務者陳述催告申立書
強制執行の不服申立
債務者は、強制執行に不服がある場合不服の申し立てができます。
- 執行抗告と執行異議・・・執行の手続きに不服がある場合。
- 請求異議の訴え・・・すでに債務が弁済により消滅している場合。
- 第三者異議の訴え・・・債務者、債権者以外の者が自分の所有物である等の理由で訴える。
- 配当異議の訴え・・・配当が不公平な場合
強制執行の手続きを止めるには執行停止の手続きが必要になります。
手続きに要する書類
執行停止申立書
添付書類
・債務名義を取り消す執行力のある裁判の正本または弁済証書
(無い場合は債権額の三分の一の担保を提供)
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