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仮処分命令の必要性等 民事保全法第二十三条

仮処分命令には①「係争物に関する仮処分」②「仮の地位を定める仮処分」があります。

①係争物に関する仮処分は、当事者間で争われている対象は「物」です。例えば、マンションの引き渡しを求める請求権が争われている場合、債務者がマンション室内を壊したり、第3者に売り渡してしまう等、債権者が裁判で勝訴しても執行できなくなります。そこで、債務者の占有を解除して、保管人に管理してもらう仮の処分をいいます。

②仮の地位を定める仮処分は、例えば、マンション管理組合理事長が職務において不正行為を働いたため解任の訴えが起こされているような場合、そのマンション管理組合理事長は、判決が確定するまでは引き続き理事長として職務を行うことは、後から解任の判決があっても時すでに遅しとなってしまう可能性があります。そのようなケースで、そのマンション理事長の職務を行うのを停止する仮の地位を定める仮処分をいいます。

条文

(仮処分命令の必要性等)
第二十三条  係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2  仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3  第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4  第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。