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破産債権者を害する行為の否認 破産法第百六十条

否認権とは、破産手続き開始前であっても詐害的な弁済行為等が行われた場合、破産管財人の求めにより、裁判上その行為を無効にし財産を破産財団に戻すことをいいます。

この否認権は、民法第424条に定める詐害行為取り消し権と類似しています。

民法に定める詐害行為取り消し権は

①詐害的な取引によって債権者の財産が減少して債務の弁済に支障をきたす無資力要件

②取引の相手が債権者を害することを知って取り引きを行ったという詐害の意思(悪意)が要件

ですが、

否認権の場合は、相手方の詐害意思の有無にかかわりなく行使できます。

つまり、上記でいえば①の要件となります。

 

(破産債権者を害する行為の否認)
第百六十条  次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。

一  破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。

二  破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。

2  破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。

3  破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。